センターに込められた想い

 
昔々、子どもと自然は、一つのものでした。自然の中から生まれ、自然の中で育てられるのが、子どもでした。
いつししかそれが、無理に引き離されてしまいました。すると誰もそれを、不思議とも思わなくなりました。

京都の子どもは、「ふるさとの山は、どこ?」と尋ねられた時、何と答えるでしょうか。
歴史と自然に満ち満ちた、京の山々も、子どもたちのための“土と緑”ではありません。
近くて遠いものとなってしまいました。

私たち、京都市民間保育園の園長たちは、“幼児に土と緑を”という願いから、
自然の中で、自然と共にあそべる『野外保育センター』の開設を、永らく夢みてきました。

念ずれば花が開きました。言いつづけたら実がなりました。
公私各方面のご協力を得て、洛北、比叡山の麓、八瀬の里に、
7千坪の自然林を確保して、昭和44年に『八瀬野外保育センター』
を開設して、早くも半世紀となりました。

その時、私たちが誓いあった願いがあります。
“幼児に土と緑を”与え、“あそび”に欠くことの出来ない、三つの条件として、

1. 自然とのふれあい
2. 創造のよろこび
3. 人間のつながり

を満たすことの出来る、総合施設・環境を建設することでした。
このことは、いつまでも語り継ぎ、守り継ぎしなければ、なりません。

しかしセンターは、利用側の要望・要求が受動的にみたされる処ではありません。
それぞれの園が、日常保育の延長として、子どもを自然の中に投げ出し、
自然と会わせる“場”の提供が目的です。

センターが、何を与えるかではなく、センターから何を見出すか、創り出すかが課題です。

「また来ましたー」といって、子どもたちに来てほしい。
「また来ますよー」といって、帰ってほしい。

その時こそ、センターが、京都の子どもの、ふるさととなった時です。

“獏”という動物は、夢を喰べるといわれています。
大人も子どもも、八瀬で見果てぬ夢を、喰べつづけたいものです。